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【7月号】醸す(かもす)

期間スタッフ三年目のゆうです。農場ではスナップえんどう、丸さやいんげん、秋作育苗担当をさせてもらい、冬季は酒蔵で酒造りに励んでおります。

好きな言葉に醸す(かもす)という言葉があります。

  • 一つ目の意味は穀類を麹(こうじ)にし、水を加えて、酒・醬油(しょうゆ)などを作る。醸造する。

  • 二つ目の意味は雰囲気などを作り出す。

前者はもう僕が冬季メインでやっている酒造りそのものです。

のらくら農場はいい雰囲気が醸されています。上下関係はなく一年目のスタッフも意見しやすく活気溢れた働きやすい雰囲気が整っています。のらくらの最近のテーマに「ご機嫌でいこう!」って素晴らしいテーマがあります。それらを一人一人が意識しているからこそ成りたっています。特にたくやん(農場長)から醸されている、謙虚でいい意味で威張らない雰囲気が素晴らしく良いです。相談しやすく、頼りやすい。はっきりと目で見えるわけではないけど、ミスをきちんと報告できる雰囲気が確かにそこにあります。人から発せられる雰囲気はスタッフが変わればガラッと変わります。伝染もします。今年過去最高のスナップ収穫の対応に追われ自分自身からピリピリの雰囲気が醸されている気がするので、みんながご機嫌でいるために気をつけねばと想ったりもします。僕ものらくら三年目でかなりのらくらに醸された実感があります。先日、自分の古民家でのらくらスタッフ、いそベジ農場さんスタッフ、佐久穂のハーブ園のレティーファームのスタッフさん含めての勉強会が開催されました。そういう場所の提供なども、一年目ではまずしなかった事がのらくらに醸され、醸し合い成長させられた気がします。のらくら農場、野菜以外にもいい人財を育てている気がしてならないです。

農場のとある日の朝。タクヤンが廃棄した玉ねぎから微かに発するガス臭に気づきました。それは、わざとつけられている都市ガスやプロパンガスの匂いと同じ成分(メルカプタン)。補足すると1000分の1程度の微量なものでも、くさいと人が感知できるようです。人間の嗅覚能力も捨てたものではないです。日本酒業界的にはびん香、ひなた臭とか言われ、酒が日光に当たった時にでてしまう場合があります。

りにおいて重要です。収穫タイミング、灌水の程度、太陽熱養生処理のマルチをはるタイミング、誘引のタイミング、追肥タイミング、他にも病気や害虫、鹿さんタヌキさんで作物がやられたりするので日々対応におわれます。資材が使いたい時にない!などとならないようにスタッフ間で指摘しあいます。二年目では畑の土の水分量など意識しなかったことも三年目では意識するようにもなりました。

酒の造りの方は、上槽(じょうそう)(搾るタイミング)や天候、品温、水分量、醪の状態に応じて対応を変えたりします。お米の状態で発酵の進み具合も変わるのでそれを意識したり。サーマルタンクの温度を変えたり。麹や酛(モト)の温度管理など盛りだくさんです。

日本酒の作業行程はたくさんありますが、酛(モト)酒母作りが変化に気付きやすく楽しいです。酛タンクに麹(こうじ)や酵母、防菌材として乳酸、蒸米を添加し、添加した直後は水の少ないお粥みたいな状態だったのに、夕方に荒櫂(あらがい)するときには、麹菌の麹が作り出す酵素のお陰でトロトロに。酵素凄いって実感する瞬間でもあります。

酵素について補足するとαアミラーゼ君とグルコアミラーゼ君が長い鎖状のデンプンを小さく分断し、グルコアミラーゼがそれをさらに細かくします。これらの働きで、デンプンをグルコース(ぶどう糖)とマルトース(麦芽糖)に分解することができ酵母はそれらを食べながら、アルコールや香気成分を発生させていきます。これを同時にやるので、日本酒のアルコール発酵は並行複発酵とか言われます。ワインはすでに糖があるので単発酵とよばれ、ビールは麦芽を一回麦汁(糖)に変えてからアルコール発酵させるので単行複発酵とか言われます。さすがに添加した1日目では酵母から醸す匂いは出ませんが、3日目あたりからほのかに醸されます。発酵が進むと酒母からはぷくぷくのホットケーキを焼いた時の様な気泡(二酸化炭素)が出てきます。その酒母の働きをニヤニヤしながら俯瞰で観察するのが楽しいです。

ズッキーニも爆発的に収穫が始まり、ピーマン、とまと、なす、玉ねぎなどの夏野菜の収穫も始まりました。待ってました!って感じでおります。そんな農場に醸されている香りも、各食卓で食べたり定期セットを開けた時に感じられるものを提供出来たらって思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。


ゆう

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